郷愁。

北の旅烏

2016年07月29日 08:23

琴似駅手前の一角で見かけた食べ物屋さん。メイン通りが手前なので
裏手が丸見えのモルタル造りの昭和色。木造なら古いのが当たり前と
意に介さないのですが、モルタルはそうはいかないうら寂しさがあり
ます。小学校から中学高校と住まいした家が(官舎)この造りだった。
だからか年季が入るほどに黒ずんでいく壁が記憶の中に停滞している。

ただ小学校へ上がる前は木造の平屋建てが当たり前だった。隣近所も
似た造りで、モルタルやレンガ造りの家は別世界の人間が住んでいる
ところと信じきっていたように思います。小学1年の三学期に初めて
引っ越した先の裏庭の奥に瀟洒なレンガの家があった。記憶が断片的
ですが、米兵さんが住んでいたように思います。だからか家に招かれ
入った広々とした居間にはソファーがあり、暖炉のような見たことが
ない空間にただ唖然とした感覚がありました。その家には行ったのは
一度だけでしたがやはり異次元空間としか記憶にない。高校に上がる
ころ2度目の引越しで二階がある家になった時のこと。階段が珍しく
上がったり降りたりと有頂天になっていました。そうそう二階の奥に
物置小屋のような小さな部屋があり、ここを秘密の基地にして模型を
作って遊んでいました。小さな窓から見える風景が、と言っても隣の
住宅だけなのですが切り取った一枚の絵のように見えていました。
独立してからは引越しの回数ごとにアパートからやがてマンションに
移り住むとエレベーターが常設されていて、テンションが嫌が応にも
上がったものです。雨の降る日は過去を振り返るには好都合。灰色の
空と窓につたう雨だれは、夏休みに入った小学生の頃の失望感を呼び
起こします。なんで休みの初日から雨が降るんだい!とため息ばかり。
遊びに行きたくても出られない苛立ちを、どこにもぶつけられなくて
お菓子をつまんでは外を見ていた。週末までこんなお天気が続くとか
出てます。早朝家を出たそこにカバーをかけられた旅烏2号が黙せず
たたずんでいます。毎朝つぶやくごめんねの言葉。もう2ヶ月乗って
いない体たらくを恥じて隠れ家に出る毎日。いかんな〜これでは。

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