北の旅烏のひとりごと。

先日の寒波が日本を駆け巡り、九州や奄美大島の映像がまるで北国と
見間違える程の雪景色でした。ここにきてようやく北国も「正統派の
冬はこちらだよ」と言える雪降る寒い日が続いています。ただ日中の
気温が時々プラスになったりしていますけど。小学生だった子供の頃
裏庭に積もった雪山を掘っては暗くなるまでかまくら作りをよくして
いました。アノラックや（今でいうジャケット）ズボンが凍ってゴワ
ゴワ状態。そのまま家に上がると濡れるから脱いで上がりなさい...と
母からよく小言をもらっていたものです。石炭ストーブの前に広げた
ズボンは凍っているので独り立ちできるのですね。まるで透明人間が
いるみたいに。北国は寒いというイメージがありますが、冬の期間は
石炭ストーブが大活躍。次から次へと石炭をくべるのでみるみる内に
ストーブが真っ赤っか。だから身体が火照ってきて眠気が襲ってくる
のに時間がかかりません。夕食の前には夢の中...がよくありました。
それと居間の窓外のガラス越しに積もった雪の中にみかんを突っ込み
シャーベットみかんにして食べたものです。お風呂から上がって食べ
るとシャリシャリ音を立てて融けていく口触りがなんとも言えずバカ
旨でした。当時はまだシャーベットなる食べ物がなかった時代。子供
心に大人になったらこうして食べているみかんと同類のものができて
いるに違いないとそう思っていました。それと初夏によく食べていた
いちご。砂糖をまぶしその上に練乳をかけるそれ。今だったら甘過ぎ
なのですがその頃はこれが定番でした我が家では。小学校の高学年の
頃の私が茶の間で笑みを浮かべたモノクロ写真にそれが写っています。
４９日が過ぎた頃に形見分けをしようと思っていると先日電話が入り
ました。ここ何年も実家に帰っていなかった旅烏。思い描くも母親の
部屋に置かれていた古いタンスを想い出すくらいでして。兄に伝えた
中で昔母が使っていた花瓶があるかとたずねました。居間に飾る花を
それに生けたいと思ったのです。あとはなにも思い浮かばなくってね。
それだけで充分。見るたび楽しかったあの頃と、ほろ苦い昔の日々が
蘇ってくることでしょうね。きっと・・・。

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